2008年東大理系数学

毎年解いているので今年も解いてみました。合計で210分かかりました(3番と5番が多め)。昨年よりは確実に難しかったです。以下感想です。


1.
自分の教育課程になかった1次変換の問題。(1)は、大数ゼミの直前テストゼミの問題で似たような問題があったが、そのときは全体の2割くらいしか直線の移動を捉えられていなかったので、この問題も(1)から出来が悪そう。
(2)は要はl_nの軌跡を求めれば良いが、とりあえず方針を立てるためにl_0, l_1, l_2を図示してみたところ3直線が1点(-1, 2)で交わることに気づく。帰納法でそれを証明して半分が終了。
また、よくよく見てみるとl_nの傾きがだんだんと緩やかになっていることが予想されるので、l_nの傾きをc_nとおき、c_(n+1)=-2/(3+c_n)を導き、y=-2/(3+x)とy=xのグラフを使っての怪しい矢印の説明により-3/2≦c_n<-1を示した。結局、漸化式を解かずして終了。2005年の東大3番のときにも確か書いたと思うが、この解法は大丈夫かどうかやはり不安である。個人的には満点にしたいけれど、模範解答ではあまり見たことないので基準によって分かれるというところでしょうか。


2.
確率漸化式の問題。センターから通算すると3回目の漸化式の登場。漸化式を毛嫌いしている人は大変な年だったでしょう。
学コン7月号2番のサイコロの問題にもあった「同じような場合をひとまとめにする」という考え方が出来れば、あとは漸化式を解くだけ。といっても(1), (2)ともにa_(n+1)=k・a_n(kはnに依らない定数)型の簡単な漸化式となるので計算はほとんどいらなかった。
見た目の印象では面倒そうだと思ったが計算は楽だった。良問だと思う。


3.
要は正八面体のサイコロを底面の重心を通り、底面と垂直な軸で回転させたときの通過体積を求める問題。ホビーショップで売っている正八面体のサイコロをよく使う人にとっては馴染みが深いのではないかと思います。どんなゲームに使うか知りませんが。
(1)はどこまで答えれば良いのか悩みますね。最初(1)が無くてこれでは難しすぎるからということで後から(1)を付け加えたように思える。個人的には、正六角形が描いてあれば満点で良いと思うがどうなんでしょう。
(2)は定石通り底面と平行な面(z=t)で切って断面図を考える。正八面体の稜との交点が真上から見たときにそれぞれその稜をt:(sqrt{6}/3)-tで内分することを利用すれば、思ったより楽に断面図が描けた。
そして正六角形の中心と断面と稜との交点(6つある)との距離のうちどれがいちばん長いかを求めようと思ったが、よく見たらどれも同じ長さだったので特に議論する必要がなかった。普通に断面積を求めて積分をして終了。
学コン2月号2番の別解に三角柱を上から見た図を使う解法を書いたが、それと同じ発想を思いつけば極端な難問ではないとは思う。ただ試験場でそこまで冷静になれるかどうかは微妙なところ。個人的には昨年の3番よりは楽だと思う。


4.
(1)は学コン6月号2番と同じような式が出てくるので解いた人はかなり安心感が持てたでしょう。(2)は自分は1+m^2=Mとおいて微分をしたので、分子にM^2-L^2が出てきて因数分解がかなり楽だった。これは落とせない問題。


5.
(1)直接示せそうにないのでしょうがないから帰納法を使ったらきれいに解けた。
(2)十分条件は(1)を用いて簡単に解けた。問題は必要条件の方。
自分はn=27m+k(mは0以上の整数、kは1以上26以下の整数)とおき、
111…1(1が27m+k個)= 111…1(1が27m個)・10^k+(1+10+100+…+100…0(0がk-1個))
と変形した。そうすると、111…1(1が27m個)は27の倍数なので、あとは1, 11, 111, …, 111…1(1が26個)のmod27を求めれば良いことになります。
幸い1, 10, 100, …, 100…0(0が25個)のmod27が1, 10, 19のたった3周期で繰り返されるので、それを利用すると、1, 11, 111, …, 111…1(1が26個)のmod27は、順に1, 11, 3, 4, 14, 6, 7, 17, 9, 10, 20, 12, 13, 23, 15, 16, 26, 18, 19, 2, 21, 22, 5, 24, 25, 8と求められます。最初の4つくらい書けばあとは規則的に余りが並ぶのでそこまで面倒ではないと思います。
学コン4月号6番にも同じような問題がありましたね。考え方は似ているので解いた人はプラスになったでしょう。
なぜに27とは思いましたが、27が出てきたのは2007年度の入試ということだからなのでしょう。


6.
学コン10月号4番でもあったようにグラフの概形を描きパラメータ積分をさせる問題。積分が少々面倒なところも似ています。面倒とは言っても1回部分積分をすればsin^3(t)の積分というどこの教科書にも載っている積分が出てくるのでそこまで面倒というほどでもないです。
概形が基準でどこまで求められているのか気になりますね。y=tantとy=-tのグラフまで求めるのか、それとも「このグラフは2点で交わることはない」と1行書けば済まされるのか。この問題の基準の担当はしたくありません。



予備校のサイトの的中問題みたいな感じですべて学コン(1番だけは違うが)と結び付けてみました。こうみると、学コンの問題は何気によく研究されているなと改めて思いました。